だからケイルは悪くないんだって! -魅力的な秩序のために

Riotを全肯定する内容ではない(全否定でもない)し、長いし、いつも以上に自身の感情を強く出した記事です。

Riot writers, what do you have against the “usual” good guys?
https://boards.na.leagueoflegends.com/en/c/story-art/0IEctYqf-riot-writers-what-do-you-have-against-the-usual-good-guys

A Critique on Scathlocke/Lore Team’s view on Good and Evil
https://boards.na.leagueoflegends.com/en/c/story-art/QqvvicZk-a-critique-on-scathlockelore-teams-view-on-good-and-evil

私も英語を読むのに気力を使うため全部は読めていないのですが、この辺りのボードに関連した話。

ルーンテラにおける正義と悪について

善悪の相対性とそのバランス

善とは何か、悪とは何か。それは相対的で唯一の答えなどない、という考え方は同意できます。

ただ、最近のルーンテラは「周りから正義っぽく見られる陣営と悪っぽく見られる陣営の対立があった際、双方の言い分を聞くと悪っぽい側に好感度が傾きやすい」気がします。(私は正義陣営も好きですけどね!)

これ自体はLoL以外の物語でもよくあることです。理不尽な迫害を受けた主人公が腐敗した権力に立ち向かうというのは王道のシチュエーションでしょう。物語的に映えるのも間違いないです。

ただ問題は、リーグオブレジェンドが『単独主人公の物語ではない』点。両方が主人公なのです。そのうえで物語を見た際に「悪」側が「常に」優遇されているように感じてしまうことが問題なのです。

「善悪は相対的」というなら「ケイルが不当に悪く書かれている」と思う人と「モルガナが不当に悪く書かれている」と思う人が同じくらい出てきてもおかしくないのにそれがケイル側に偏っているということは真の意味で相対化できていない証ではないでしょうか。

逆張りしてほしいのではなく、両者のバランスを取ってほしいのです。

勿論「悪」側に正当性が強い陣営がいても構わないし堅物で融通が利かないことで誰かを傷つける「正義」がいても構わない、でも「全員」そうする必要まではないですよね。

LoLには140体を超えるチャンピオンがいるため、「2陣営の対立」というシチュエーションが多いこともそれに拍車をかけています。

例:均衡とデマーシア

ここで陣営の対立として均衡の例を見ていきましょう。

ノクサス軍の侵略に対して均衡の価値観では人々を救えないと考え出ていったのがゼドアカリになります。精神世界を重んじるあまり今現実に生きている人々を蔑ろにはできないと考えたのです。これはひとつの彼らなりの正義の形といえるでしょう。

一方、残ることを決めたシェンはどうでしょう。感情に惑わされることなく物質世界と精神世界の均衡を保つという使命に生きています。

ただ、ここでひとつ問題が起こりました。

ノクサス軍という脅威は多くのアイオニア所属のチャンピオンの物語で語られている中、物質世界と精神世界の均衡が崩れることでどのような脅威が訪れるかの描写が不足していることです。

シェンのバイオグラフィーによれば放っておくと世界が破壊されるのだろうと予測できますが、具体的な被害として示されていないため描写じゃなくて説明になってしまってるんですよね。ショートストーリーでは亡霊という脅威が出て来はしましたがまだノクサス軍に比べると弱い。

足りないのは「描写」なのです。

デマーシアだってそう。デマーシアの魅力は団結力であり、法に則った秩序です。このうち「団結力」についてはジャーヴァン4世、シヴァーナ、ポッピーなどの物語で描かれているのですが、「法に則った秩序」の部分は現段階では法に不当に虐げられたサイラスや魔力を隠さざるを得ないラックスの印象が強く秩序のメリットを書ききれていない印象が残ります。

秩序・公正とは感情に流されずに判断するということであり、融通が利かないということにもつながります。しかし、これはデメリットだけではないのです。

なおケイルが自身の感情を失っていくのはある意味で仕方ない部分もあります。なぜか。彼女はターゴンの神髄の子だから。アトレウスという名の少年がターゴンの神髄パンテオンとして別人に生まれ変わったように。

あれくらいドラスティックに変わったとしてもおかしくないんですよ、モルガナと違ってケイルは自身の感情を残そうと必死に抗ってはいないわけですからね。

魅力的な「秩序」のために

「秩序」。本当に不当な評価を受けているのは善や正義ではなく実は秩序の方ではないでしょうか。

そう感じてしまうのは単純に印象的なエピソード不足ではないかなと思います。

法に逆らって救われたチャンピオンはサイラスを始めとして多く思いつくのですが、法に従って救われたチャンピオンというのがパッと思いつかないんですよね。

あれだけ法に則った正義を成そうとしているガレンやケイルですら妹と対立する法を守ることに苦しんだりしたわけですし。

「法が間違ってることもある」と書きたかったというのは理解できます。でもそれはイコール「秩序より混沌が優れている」ではない。秩序には秩序の、混沌には混沌のメリットがある。

魅力的な悪がルーンテラにはたくさんいる。魅力的な混沌が、善がいる。だけど、秩序への態度だけが「誤ったルールで人を苦しめるだけ」になってしまうのは考え物です。

さて、魅力的な「秩序」を書くには「秩序を守るメリット」と「秩序を守らないデメリット」を「人々の行動で」描く必要があります。

「法を守ることで人々が守られる」という主張は決して間違っていない。その主張を裏付ける事実がもっと必要なのです。

秩序に救われたエピソードの主体は別にチャンピオンである必要すらありません。秩序が最も救うのは一騎当千の個人ではなく、力なき一般人だ、ということでよいのです。「家族を殺されたが復讐する力を持たない少女が法によって裁かれた犯人の処刑を見る」とかやりようはいくらでもあるはずですから。

デマーシアは弱者の理想郷であってほしいという話

弱い人間はフレヨルドの過酷な寒さと襲撃者に、ゾウンの作業員としての過酷な仕事に、ビルジウォーターのギャング達に、ノクサスの力こそ全てという世界に、果たして生きていけるでしょうか? チャンピオン達の華々しい活躍に目が行きがちですが、ルーンテラには彼らほどの才を持たない者が溢れているのです。

名もなき一般市民にとって最も住みやすい場所こそがデマーシアだと私は信じています。「人々は団結して助け合う(ただし魔法使いは人ではない)」これは()の中が問題なのであって、外側を、秩序と団結の美を失うべきではないのです。

サイラスだって、メイジ達と助け合って生き延びる為に戦っているのです。デマーシア2.0には(難しいかもしれませんが)新たな秩序を描いてほしい。弱肉強食の世界になったらそれノクサスでいいじゃんと思ってしまうから。

何故弱いものを助けるのか? 弱肉強食こそが正しいのではないか?と思う人もいるかもしれません。

ただ、それに関してはYahoo!知恵袋でとある人が回答していたのが非常に腑に落ちたので紹介しますね。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1463546664

我々全員が「弱者」であり、「弱者」を生かすのがホモ・サピエンスの生存戦略だということです

私がデマーシアに求めているのはこれなのです。

「弱くても団結して生きていける場所」はある種の人々にとって救いになるはずですから。

まとめ

  • 善悪を相対化しようとするあまり片方側にだけ寄るのは真の意味での相対化ではないよね
  • 実は一番割を食ってるのは善でも正義でもなく秩序なのでは?
    • 法や秩序を守るメリットの描写不足(説明になってしまっている傾向)
  • デマーシアには弱肉強食になってほしくない、そういうのはノクサスとかフレヨルドとかビルジウォーターとかでやってほしい デマーシアは弱い人でも団結して生きていける場所であってほしいのだ

おまけ

(挟む場所を失った文章)

「善悪は相対的なものである」良いでしょう。どちらがいいとも悪いとも言い切れない対立を描いた物語は良いものです。

ただ無理に善悪を相対化しようとして画一的にするのも考え物です。「善っぽいチャンピオンには全員『本当に善か?』と疑問を抱かせる箇所を用意しなければならない」であれば私は断固反対します。ブラウムにそれは絶対に合わない。ブラウムの善性を疑うストーリーなんて見たくもないぞ。

あいつの周りだけ世界観コウペンちゃんでいいんだよ。小さな子供でも安心して見れる話であるべきなんだよ。

ケイルとモルガナの設定に関する称賛

ケイルとモルガナを「双子」にしたのは本当に、本当に英断。(リワーク前にどこかで双子って書かれてたかどうか定かではないですが)リワーク来るまで双子になるとは予想もしてなかったけどいざ来てみればこれほどしっくりくる設定もない。

関連リンク

LOLユニバース・大河化問題|モリ スイジュ

 当記事に言及してくださってます。ありがたい限りです

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コメント

  1. ツボ より:

    面白い記事でした。そして内容にも賛成です。
    ケイルを支持する人がいるってことは法に救われた人もおり、それはおそらく法に弾圧された人より遥かに多いのでしょうが、そこら辺描写が足りないですよね。多分ケイルの法はデマーシアの団結と秩序の基礎となったと思います。
    なおモルガナケイルは元々姉妹でしたよ(双子かどうかは覚えてない)。
    ただ今回のリワークで双子っぽいデザインになりましたよね。以前のモルガナはただの怖いおばさんで天使っぽくなかったけど、リワークで堕天使っぽい怪しいお姉さんになってよかったと思います。

    • ろるゆに管理人 より:

      コメントありがとうございます。正しい法秩序は人を守るはずなのです。
      元々姉妹だったことは知ってたんですが、リワーク前から双子だと明言されていたかどうか定かではないなと思っての発言です。
      あと新モルガナのビジュアル好きです。